ガールズカーニバル 第四話

【アキノ】
あら。

【倉見】
あ……。

【アキノ】
こんにちは、咲蘭さん。

【倉見】
え、えーと、……夏帆の……セックスフレンドのアキノさんよね。
こんにちは。

【アキノ】
……。

【倉見】
夏帆がいつもお世話に――。

【アキノ】
夏帆様がいつもお世話になっています。

【倉見】
えっ……?

【アキノ】
咲蘭さんは夏帆様のただの友人だと伺っています。
夏帆様がご迷惑かけていませんか? 
恋 人 っ! ……の私がしっかり言いつけておきますので。

【倉見】
……そ、……そう、なの。
それは助かるわね……。ふ、ふふふっ……。

【倉見】
でも、私と夏帆は幼馴染みですもの。
アキノさんの助けはいりませんよ。私達、仲が良いんですから。

【アキノ】
あぁ、確かに。
30年以上も! 友人のままで! いる程度! 仲が良いんでしたね。
失礼しました。

【倉見】
………………え、ええ。
あ、アキノさんは……これからどちらへ?

【アキノ】
帰宅途中です。
今まで夏帆様のご自宅にお邪魔させていただいたものですから。

【倉見】
そ、そう。

【アキノ】
何をしていたか気になりますか?

【倉見】
べ、別に……。
夏帆が誰と何をしてようが、私には関係ないもの。

【アキノ】
その割には顔が引きつっていますよ。
おばさま。

【倉見】
くっ、……ぅ……!!
いっ、いつも私はこんな顔なのよ。
ごめんなさいね、気を悪くさせちゃったみたいで。

【アキノ】
……。
私、夏帆様に「好き」って言われちゃったんですよ。
い〜っぱい抱きしめてもらいました。貴女が想像している以上に。

【倉見】
そ、……それを、何故私に話すの?

【アキノ】
単なる恋バナですよ♪
知っています? 夏帆様が甘える時は――。

【倉見】
わっ、私!! 私……今から仕事だから!
ごめんなさいね、アキノさん。
恋バナはいずれしましょう! じゃ、じゃあ、お元気で。

【アキノ】
臆病者。
すぐ逃げるんですね。

【倉見】
……。

【アキノ】
咲蘭さん。
今度は恋バナ聞いて下さいね。可愛い年下の頼みですよ。
では、ごきげんよう。

【倉見】
……。

【倉見】
…………。

【倉見】
……っ!! な、……何よ。あの子。
こっちが甘い顔したらすぐに調子にのって……!

【倉見】
夏帆も夏帆だわ……。なんであんな子と……!

【小林】
あ、咲蘭。どうしたの、こわい顔して。

【倉見】
夏帆!!

【小林】
は、はい!!!!

【倉見】
……あ、あのね! 前から……言いたかったんだけど!
いろんな女の子とセックスしちゃ駄目よ!!
するんだったら、ちゃんと籍入れなさい!!

【小林】
い、いや……結婚するぐらい好きな人とは付き合っていないし……。
その辺は、お互い同意済みだから……。

【倉見】
でも好きなんでしょう!? 好きって言ってるんでしょ!!
私、知っているんだから。

【小林】
好きか嫌いかで言われたら、好きだから好きって言っているわけで……。
え、えぇと……。そんな真に受けるものじゃないって。
社交辞令みたいなものだし。

【倉見】
社交辞令……!?
貴女はそんな簡単に好きだって言うのっ。

【小林】
え、え……ま、わりかし。

【倉見】
……! う、嘘よ。
だって、私には一度も――……。

【小林】
えっ……。

【倉見】
あ……。

【小林】
咲蘭、それどういう――。

【倉見】
っ、触らないで!!(バシッ!)

【小林】
………………。

【倉見】
あっ……ご、ごめ……。

【倉見】
……。知らない!!

【小林】
…………。




【小林】
って、ことがあったんですよ。あー、頬いてー。

【小百合】
そっ。良かったじゃない。

【小林】
何がいいんですか。
はぁー、アイツ、貞操観念高すぎなんですよ。

【小百合】
……?
どうしてそんな話になるの。
倉見が嫉妬しているだけでしょう。

【小林】
違いますよ。
昔から私が女を付き合う度に、籍入れろ結婚しろってうるさいんですよ。
お互い安心できるでしょうって! 言いたいことは分かりますけどね。

【小林】
私、咲蘭以外と結婚する気ないですから。
付き合う女の子も承知しているんですよ。はぁー……難しいなあ。

【小百合】
なるほど。
貴女達が今まで駄目だった理由が分かった気がするわ。

【小林】
えっ。

【小百合】
いいから、謝ってきなさい。
先延ばしにすればするほど、状況は悪化するわよ。

【小林】
そういうものですかね。

【小百合】
……。

【小林】
すみませんでした! 行ってきます!!